プレイヤーが観測できる唯一の自己は銃口なのか


圧倒的存在感のbig daddyに惹かれて買ったけど、実は微妙な役どころなのにガックリきて永らく積んでたbioshockを再プレイしてクリアした。

画面右下に銃口が見えていて、敵をcenterに入れてトリガーを引く例のやつなんだけど、実際のところはRPGFPS+RPGと云うのが正解か。この組み合わせ加減は、昔に流行したARPGアクションRPG)に合致する感じ。どれくらいピタリ合致するかと云うと、アクションを期待してARPGを買うとガッカリしたのと同じくらい、FPS要素はどうでもいい。なんでアクション好きなのに、ARPGのアクション要素は駄目なのかを併せて考えてみると、どうもRPG成分として自分も敵もリソースに限りが無いのが原因のようである。bioshockは、自分の能力を使いこなせば楽に敵を倒して進むことのできる、素敵なゲームであるのだけれども、結局のところリソースが無限なので、工夫するモチベーションが沸かなくてゴリ押ししてしまうのだな…。

このゲームはRPGなんだと頭に叩き込んで遊ぶと大変素晴らしいものだと気づいた。20世紀中頃の時代設定で、やたらと古めかしい世界、それでいて巨大海中都市を舞台に遺伝子改造されたキャラクタが暴れまわるフィクションっぷりがとても良い雰囲気を出している。定評のある水の表現とか鉄々しい金属の表現とか美麗なグラフィックも良いですね。やっぱり、RPGだな。

あとストーリーのネタバレを交えて。
基本的に悪い敵をやっつける、シンプルな内容なんだが、メタ的なトリックを使った小気味良いどんでん返しがあってヒネた私も満足。設定も結構練ってあって楽しいのだが、その設定を理解する助けがあんまり無かったのがちょっと残念だったかな。主人公の視点で提示されるストーリーは非常にシンプルなものに留められ、細かい設定はマップ随所で回収できるダイアリー(音声データ)を聴くことで覗える。しかしながら、あくまでダイアリーの体裁であるため、幾つかのダイアリーを聞き並べ、類推していかないと設定を理解することが出来ない。これが、画面に表示される矢印を追っかけていれば勝手に進んでゆくうえにシンプルで判りやすいメインストーリーと比べて非常にハードルが高い。私は速攻で挫折して、webの設定解説を頼った。なんとかならないものかな。まあ、代わりに詳細なムービーを見せられてもダルくて困るのだが。

最後に、分岐するエンディングのうち、ハッピーエンディング?の方で終わらせたのだが、大変感動した。主人公+αの腕(というか手の掌)だけが入ったカットが続くムービーなんだけれども、手の掌だけでその場のシチュエーションや時間の経過を語る演出が素晴らしかった。あと、ちょっと話がズレると、このゲームでは武器が幾つかあるんだが、近接武器の俗に言うバールのようなもの、「レンチ」がかなり強いのね。で、コレ使ってると画面には銃口の代わりにレンチを持った手が表示されてて、プレイヤーはそれを延々と、プレイ時間の100%近くを眺めてるわけ。つまり、プレイヤーが一番主人公として認識しているのが、手の掌ということになる。だから、エンディングを手の掌だけに絞ることで、逆にプレイヤーと主人公との同一化が強まったのではないかと思うね。

つうことで、FPS+RPGであるところのbioshock、大変楽しかった。近々発売されるという、bioshock2も買ってみるかな。